「ネットが遅い」「電話が繋がらない」「クラウドに入れない」。社員からバラバラに報告が来る一方で、何が起きているのかを目で確認できる人が社内にいない。ベンダー待ちで半日が消えることもあります。社内ネットワーク監視は、機器を増やす話ではなく、止まったときの初動を決める話です。

ネットワーク監視は「大企業の話」「コストが見合わない」と片付けられがちな領域ですが、近年は中小企業向けに導入しやすい監視の選択肢が増えてきました。一方で、ツールを入れてみたものの初期設定で止まり、結局活用されないケースもよく見られます。仕組みとして続けるためには、何を監視し、どう通知し、誰が対応するかを設計段階で決めておくことが必要です。

一人情シス・ゼロ情シスは、もはや少数派ではない

IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2024」では、DXを推進する人材が「大幅に不足している」と回答した企業の割合が62.1%と、調査開始以来初めて過半数を超えました。経済産業省の推計では、2030年までに国内のIT人材は最大約79万人不足するとされています。とくに中堅・中小では、1人ですべてを担う一人情シスや、専任を置かないゼロ情シスが常態化しつつあります。

中小企業のIT運用にまつわる現状
・DX人材が「大幅に不足」と回答した企業:62.1%(IPA「DX動向2024」)
・国内IT人材不足:2030年で最大約79万人(経済産業省)
・グローバル2000社のダウンタイム年間コスト:約4,000億ドル(Splunk/Oxford Economics 2024) 出典:IPA「DX動向2024」、経済産業省「IT人材需給に関する調査」、Splunk「Hidden Costs of Downtime」

絶対額のインパクトは大企業ほどではなくとも、業務時間中のネットワーク停止を吸収できない中小事業者は少なくありません。「気付くのが遅い」「復旧に取りかかる人がいない」という状態を先に潰しておく必要があります。

視点 1:監視対象は、業務継続から逆算する

監視ツールを入れる際にやりがちなのが、「とりあえず社内の機器を全部見る」という設計です。これでは初期構築に手間がかかり、運用が始まる前に止まってしまう例も少なくありません。止まった瞬間に業務インパクトが出る要素から優先するのが現実的です。

  • 業務クラウドへ抜けるルーター・ファイアウォール
  • IP電話システム(PBX、SBC)・SIPトランクの疎通
  • 業務サーバー、NAS、ファイル共有
  • 認証基盤(ディレクトリ、SSO)、業務に直結する社内サービス

これらを最初に監視対象に入れ、運用に乗ってから細かい機器を足していくほうが続きます。監視ソフトを選ぶ際は、テンプレートが豊富で対象を後から増やしやすいこと、ルーター・サーバー・電話システムを横断して一画面で見られることが、運用を続けやすくする条件になります。

視点 2:通知経路は、本回線とは独立させる

意外と見落とされるのが、障害発生時の通知経路です。社内のインターネット回線が落ちた瞬間に、その同じ回線でメール通知やチャットに飛ばそうとしても通知自体が届きません。「気付かない」のが障害対応で一番苦しい状態です。

仕組み化するなら、通知用の経路を業務回線とは別にしておきます。具体的には次のような構成が現実的です。

  • LTE(モバイル回線)経由で監視サーバーへ通知
  • 閉域SIM(セキュアSIM等)で公衆網を介さず通知。個人情報や医療データを扱う環境向け
  • 通知先はメールに限らず、LINE・Chatwork等、担当者が確実に見るチャネルへ
検知から初動までを「業務回線とは別経路」で動かす 1 検知 社内LANに監視BOXを接続。 ルーター・サーバー・電話 システム等の死活を取得 2 帯域外通知 本回線とは独立した経路 (LTE / 閉域SIM)で 監視サーバーへ通知 3 リモート対応 担当者またはオペレーター が閉域経由で接続し、 調査・暫定復旧を実施
図1:業務回線が落ちても気付ける構成。通知経路と対応経路を本回線から切り離しておくのがポイント。

視点 3:リモート対応の窓口を、最初に決めておく

検知できても、対応する人が動かなければ業務は復旧しません。一人情シス・ゼロ情シスの中小企業にとっては、平日夜間や週末の対応が現実的な悩みになります。監視サービスを選ぶ際は、機能比較より前に「検知後に誰が一次対応するのか」を最初の論点にすると失敗が少なくなります。

社内の担当者か、ベンダー側のオペレーターか、外部のIT監視サービスか。閉域接続でリモートからログ調査・暫定復旧ができる体制を組んでおくと、現地に駆けつけるまでのダウンタイムが大きく短縮されます。製造業や医療機関、士業など、業務時間中の停止を吸収しづらい業種ではとくに重要です。

監視は検知後の動きまで設計する

ネットワーク監視は、導入時の構築よりも、検知後の動きが決まっているかで実用性が変わります。中小企業では、監視対象・通知経路・対応窓口の3点を業務継続から逆算して設計しておくと、社内に常駐のIT担当者がいなくても、最低限の見える化と初動を回しやすくなります。

フォースネット株式会社の社内ネットワーク監視アプライアンス『ITかんしBOX』は、LANに接続するだけで監視を開始でき、LTEや閉域SIMによる帯域外通知、閉域経由のリモート対応まで一連の流れを組み込める設計です。

参考資料

社内ネットワーク監視の設計

監視対象、通知経路、一次対応の担当、リモート復旧の範囲まで、運用に乗る形で整理できます。

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